スノードロップ
半年前に妻と娘、そして両親を一度に亡くした『俺』は、緩やかに気が狂って、そして気が違ってしまっていた。
物事の変化は緩やかなので、はじまりはいつかは知れない。しかし、ある日『俺』は老婆に首輪をはめて散歩させる人を見た。隣家ではいつも窓際に座る少女がいる。動物園では檻に入れられた人々が叫んでいた。
『俺』は動物が人間に見えるようになっていた。
そんな『俺』のもとに、夜深くになって瀕死の親子猫が現れる。親猫は逝ってしまい、『俺』の目の前には、三歳ほどの幼子がうずくまっていた。
『俺』は亡くした娘の姿を重ね合わせ、望み通りに狂ってゆく。
雪の降る國はいつも空が暗い。夜のような闇から降る白い雪を、『僕』はいつも不思議に思う。
「大統領が病に倒れたから、朝が来ないだ」とハチワレの猫が言う。そして『僕』と猫は大統領の心臓のかけらを探す旅に出る。
幸福とは寓話であり、不幸は物語とするならば、これは『俺』や『僕』にとっての寓話である。
物事の変化は緩やかなので、はじまりはいつかは知れない。しかし、ある日『俺』は老婆に首輪をはめて散歩させる人を見た。隣家ではいつも窓際に座る少女がいる。動物園では檻に入れられた人々が叫んでいた。
『俺』は動物が人間に見えるようになっていた。
そんな『俺』のもとに、夜深くになって瀕死の親子猫が現れる。親猫は逝ってしまい、『俺』の目の前には、三歳ほどの幼子がうずくまっていた。
『俺』は亡くした娘の姿を重ね合わせ、望み通りに狂ってゆく。
雪の降る國はいつも空が暗い。夜のような闇から降る白い雪を、『僕』はいつも不思議に思う。
「大統領が病に倒れたから、朝が来ないだ」とハチワレの猫が言う。そして『僕』と猫は大統領の心臓のかけらを探す旅に出る。
幸福とは寓話であり、不幸は物語とするならば、これは『俺』や『僕』にとっての寓話である。