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1話読み切り 「私、異世界転生者管理職に従事している者です。」

作者: 酒乃 虜

 ジリリリリリリリ!!!!!


 始業のベルが鳴る。私の名はアフラ。異世界転生者管理職に従事している者だ。主に、人間を現世から異世界へ転送する仕事を行っている。はっきり言って激務だ。何の悪戯か、最近異世界転生の需要が異常に高まっている。目の下のクマはいつ消えるだろうか。

そんな愚痴を心の中で呟いていると、異世界から脳内に直接通信が来た。異世界にいる転生を依頼してきたクライアント様だ。


「あのー、前も言いましたけど、一般常識ある方お願いしますよ。あなたが送り込んだ方、皆何もしないまま死ぬか、こっち来てずっと引きこもってるんですけど!皆さんに迷惑かかっちゃってるんですよね!ほんと魔王来ちゃうんですけど!」

怒りを露にしている。


「はい、はい。申し訳ありません。」

私は平謝りするしかない。口答えしようものなら、すぐ上にクレームが行く。


「早くしてください!」


 そういうと、一方的に通信が切断される。続けて、現世から通信が来た。現世にいる同僚の異世界転生の担当者だ。彼は主に現世の人間を異世界へ転生させる手続きと保存管理を担当している。


「おい!おせえよ!こっちストック増えて困ってるんだよ!いいからさっさと転生させてくれよ!こっちに置いておくにも限界あるんだから!」

突然大声でクレームを入れてくる。板挟みだ。


「しかたねーだろ!こっちだって見合う異世界の選定に苦労してんだよ!だったら引きこもりとニート以外も送って来い!」

先ほどのクライアント様の怒りも同僚にぶつける。


「流行なんだから俺にはどうしようもねーよ!文句なら上司に言ってくれ!じゃあな!」


 再び一方的に通信が切断される。

もう八方ふさがりだ。同僚が羨ましい。せっかく厳しい神認定試験に合格して、下っ端の神の使いとして働けると思ったら、こんな激務に。俺も現世の人間に奇跡を運んだり、天界への導く手伝いだったり、そういうのが良かったなぁ。


 ああ、早く神様になりたい。


 そういうと、アフラは今日も異世界転生の作業を始めるためモニターへ向かう。 

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― 新着の感想 ―
[一言] 世知がれえw 中間管理職の辛さと異世界転生ネタを上手く融合させてますね。この短さなのにとても面白かったです(⌒▽⌒) 彼らを苦しめている流行りを作った小説家になろうは罪深いですね(^ω^)…
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