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魔導師ルーンと50年  作者: たるもう
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プロローグ

はじめまして、たるもうといいます。


もたもたと書いてます。

登場人物の年齢性別確定しました。

とある研究室にて


「ふう、一息いれるか」

「お疲れさまです師匠」

独り言に近い呟きにも、律儀に返事を返してくれる弟子。そんな存在をありがたく思いながら振りかえる。

「ミルアとムウニは? 」

質問の答えを確認するように小首を傾げる。

そのさらさらとした髪が研究室の柔らかな灯りを跳ね返している。

「まだ帰ってきてません、また寄り道でしょうか」

まったく、と言いながら床を覆うように広がっている紙きれを弟子の一人が集めている様子を眺める。


この部屋……王国研究所治癒薬開発部門の研究室の中では、もはや日常となっているやり取りを交わす二人。床に散らばる紙きれには途中破棄した魔方陣の残骸や薬草の成分を解析した資料がある。

(よくまあこんな資料を集めたいと思うなぁ)

薬品を片付けながらそんなことを思う。以前、研究室の資料を捨てようとしているときに弟子のセレンが「捨てるならください!ルーン師匠!」と、土下座をして頼み込んできたことがあった。それ以来資料集めをかねて整理をしてもらっている。

ただ、ルーンが研究に没頭しているといつの間にか研究室の床が紙で埋まってしまうので掃除もセレンがしてくれている。無意識のうちに気に入らない資料は床に落とす癖があるようだ。


今日は研究室の主任である私、ルーンが弟子の二人におつかいを頼んだのだが……

帰還予定より一時間遅れている今でも帰ってこない。

そして仕事熱心なセレンにはそれが許せないらしく、不満を全身に表している。

「まあまあ、そんなに怒らないで下さい。可愛い顔が台無しですよ」

「森から薬草をとってくるくらいすぐできるはずです! 師匠は甘やかしすぎです! 」

そんな弟子からの文句に耳を傾けながら、探しに行くべきか迷っていると。

にわかに扉の外が騒がしくなり、控え目に研究室入り口の扉が開かれた。

「し、しょ―――」

「師匠ただいま! 」

最初に目に入ったのは、太陽の光を宿したような笑顔。次にその隣にある月明かりのような優しい微笑みが目にとまる。

顔の形は同じだが纏う雰囲気のせいで異なって見える。


帰ってきた二人におかえり、と言おうとしたがセレンの声に掻き消される。

「おかえり。おそかったね? 」

セレンから発せられたのは普段の落ち着いた声ではなく、怒気を押さえ込んでいるような声音だった。

しかし、そんな変化に気づくのはルーン一人。セレンの笑顔がひきつっているのに気づかない対照的な二人組。


「師匠あのね! 帰りにね! 面白いもの見つけたんだ! ね、ムウニ! 」

「むぅ」

この言葉でセレンの我慢の限界が来たようだ。

「ね、じゃない! 正座しなさい!! 」

のどかな研究所の午後に怒声が響いた。


正座しているのは、元気を具現化したようなミルアと無口なムウニ。

この二人は双子であり優秀な魔法使いだ。

もちろん、今二人を説教しているセレンも魔法使いである。


「大体あんたらは・・・」

「あぅ・・・」

「ちょっと寄り道しただけじゃんー」

三人の弟子を視界の端に捉えながらハーブティーを楽しむ。

1時間ほど説教をしたセレンは、満足したらしくシャワーを浴びにいった。


「えーと、大丈夫ですか?」

セレンが出ていったことを確認してから、ミルアとムウニに声をかける。

「あ、し、が、」

「ビリビリする・・・・」

涙目で脚の痺れを訴えてくる弟子におもわずため息がでる。

セレンの気持ちも分からないでもない。帰ってこない二人を心配していたのは事実だし、時間に遅れたのも事実だ。

そこで、今後のために条件を出す。

「痺れをとるのに回復魔法かけますから、これからは寄り道しないと約束しますか?」


「・・・・」

返事はないようだ。


(まだまだ遊びたい盛りに寄り道しない、なんて約束は難しいかなぁ。)

セレンは12才、ミルアとムウニは11才だ。魔法にのめり込んでいるセレンとは違い、二人は外で駆け回るのも大好きだ。

しかし、才能の面ではミルアとムウニが勝っている。

そんな二人に勝とうとセレンは負けじと勉強している。


そんな姿を見てルーンも教えられることはどんどん教えている。そのため、遊んでいる二人に度々厳しい面を見せるが、面倒見の良いところもあり頼れる存在だ。そんなことを考えつつ本来の目的を遂行するために頭を切り替える。

痺れから解放された二人の様子を確認し、本来の目的を聞き出す。


「さて、では落ち着いたところで。面白いものとは何ですか? 」


待ってました!といわんばかりに目の輝かせて話を始めるミルア。時折、ムウニが相槌を打ちテンポよく話が進む。

「帰り道にね!森の中を商人さんが通ってて!」

「・・・助けた」

「それで、お礼に水晶もらったの!」

「なっ・・・・」


ほらこれ!と興奮ぎみに手のひらを目一杯広げて見せてくれる。

見れば確かに綺麗な紫色の水晶がミルアの手に収まっていた。

確かに近くの森に薬草を取るようにおつかいを頼んだが、商人を助けたということは少なからず戦闘をしているはずだ。

 

ルーンはあまり戦闘を好まない。危険に向かっていったであろう弟子を誉めるか叱るか迷って、二の句を告げられなかった。

「商人さんがね! これは御守りだから、大切な人へあげるといいって! 」

「・・・・師匠にあげる」

突然の宣言に驚いて聞き返す。

「私に、ですか? 」

「そうだよ!そしてこれには、秘密があるのだ! 」

「師匠、見てて 」

何をするんだろう?と不思議に思っていると、ミルアが手にある水晶に魔力を集中させていくのを感じた。




その日、王国研究所から一人の魔導師が閃光と共に姿を消した。

読んでいただきありがとうございます。


現時点の登場人物

魔導師→ルーン 18才性別不明


弟子

セレン12才♂ 


ミルア11才♀ 

ムウニ11才♀ ミルアの双子の姉 



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