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92.
奉王将軍の奉城へたどり着いたのは、出発してからまるまる1週間経っていた。荷物類が確かにあるかどうかを確かめるということもあって、奉城に入るのは翌日となった。
「どうだ」
岩屋は荷物担当の人に話を聞く。すでに宿屋には入っていて、同じ部屋にはラグもいる。宿の周りの店は、どこもかしこも、奉執将軍と奉葎将軍用の荷物や従者たちの宿となっている。他の人たちの予約はキャンセル、泊っている客は肩身が狭い思いをしていることだろう。何かあってはいけないと思い、岩屋は全員に、食べたらすぐに部屋にこもり、明日に備えるようにと言う指令を出している。
「はい、閣下。確認作業は全て終わりました。何もかもきっちりとそろっております」
「それは、奉執将軍の荷物、奉葎将軍の荷物全てだな」
「はい、閣下。全てです」
「よろしい、出ていっていいぞ」
「はい閣下、失礼します」
岩屋にまず一礼、それからラグに一礼をして、すぐさま部屋から出た。