87.
「なるほどな、品物が多すぎるのか」
岩屋は、ラグの話を聞いて、うなづきつつも言った。品物が多いということは、悪いことではない。それら全てを持っていくということも可能ならば、奉王将軍もさすがに目を見張る土産物となるであろうからだ。その一方、玉石混交であるならば、石の分を奉王将軍は見とがめると言うことは容易に考えられる。そのため、やはり選別することは必要であろう。そう考えた岩屋は、リストを見せてほしいと言った。すぐにラグは持っていく候補となるリストを見せる。それは、数百種類の布が描かれていた。それぞれの特徴、素材、一般的な相場などが書かれている。
「さすがだな。よく調べられている」
「恐縮です」
かしこまっているラグに、岩屋はさらに言う。
「いわゆる高級布を中心に、家庭用布、献上用布などを集めると言うのはどうだろう。無論、これから集めて間に合うのであれば、だが」
「なるほど、ではそのように」
ラグが一礼して、暗室だった会議室から出ていく。その後を追うように、岩屋も出ていくと、会議室はすっきりとした日差しだけが差し込んでいた。
 




