86.
さらに1週間後。今度は、ラグが奉王将軍へと運ぶ手土産物について考えていた。思いつくものと言えば、名産品の数々ぐらいで他にはリストを作ってみた者の、あまりにも数が多くなりすぎてしまったのである。
「これは困ったなあ」
独り言を言っていても始まらないので、間借りしている奉執将軍王宮1階の大会議室を出て、岩屋のところへと向かった。この部屋は、ラグが奉葎将軍となることが決定して以来、奉葎将軍の仮の間として使われている。そのため、この部屋で働いている人たちは、奉葎将軍の為に働いているのだ。大半は奉葎将軍の王宮から連れてきていることからも、そのことが分かる。
岩屋は改良した懐中電灯を使って、暗闇でもどれだけ明るいかの実験を行っている最中だった。暗幕を張った部屋の中で、一人で調節をしているところだ。そこへ、外からラグが入ってくる。
「失礼します」
「その声は、ラグかい」
「そうです」
急に懐中電灯で照らされて、思わず手で目を覆ったラグを見つけると、悪いねと言って、暗幕を外す。
「もうよろしいのですか」
「ああ、実験は成功したからな。無事に奉王将軍へと持って行けそうだ」
それはそうと、とラグへと話を振る。
「何を持っていくのか、決めたのかい」
「お話はまさにそのことに関してです」
ラグは、暗幕を外し終わり畳んでいる岩屋へと、ゆっくり説明をはじめた。




