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僕の異世界復讐話し  作者: 尚文産商堂


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85/4203

84.

「いやはや。かなり疲れたな」

 ドカッと、執務室の椅子に、岩屋は腰を下ろす。どうにか見送りまで終わり、勅使の接待と言う大役を終えることができた。では、今度の問題はと言うと、ラグが説明をしていた。

「日付を確認しますと、あとおおよそ1か月と言うところです」

「1カ月かぁ」

 それまでに、奉王将軍と出会うための準備を全て整えておかなければならない。特に岩屋へは、課題も残されている。

「ライタント、これから言う素材を集めてきてくれないか」

「分かりました。しかし、どうして」

「ヒラハが言っていただろう。奉王将軍にお見せするための装置を創り上げなければならないからな」

 すでに岩屋の頭の中には、設計図が書き上げられているのだろう。だが、それをこの場で披露すると言うことは、岩屋はしない。代わりにライタントに材料だけを発注する。

「……分かったか?」

「はい、確かに了解しました。それでは」

 ライタントは、一礼してから、執務室から出る。そして、ラグと岩屋の二人だけとなった。そこで、ラグが質問をする。

「先ほどの材料から、一体何を造られるのですか」

「気になるか」

「当然です。あなたに今の時点で何かあれば、私の奉葎将軍としての地位も怪しいものになりかねませんから」

「なるほど」

 保身狙いかと、岩屋は簡単に思った。実際にその通りであったが、特に何かを突っ込んで聞くようなことではない。我が身が可愛いのは、岩屋も同じ事であった。そのため、奉王将軍が満足しそうな装置を考える必要があった。

「簡単に言えば、懐中電灯だな」

「懐中電灯とは」

 岩屋は困った。どうやらその単語が存在していないらしい。ラグに簡単な図を交えつつ説明をすると、どうにか納得した顔つきになっている。

「なるほど、電気をためて、手に収まるような発光機を造ると言うことですね」

「そういうことだ。先ほど言ったのは、それを作るための電池やらもろもろを含んだ材料になる」

「そう言うことでしたか。確かに、見たことがないものであれば、奉王将軍もご満足いただけるでしょう」

「そのためにも、懐中電灯の研究に集中する必要がある。よって、ライタントを奉執将軍の代理とすることにしたい。本人には後で通達することになるがな。またライタントを支えてやってくれ。ただ、今回は数日に1回は私も出てくるがね」

「分かりました。その点、了解しました」

 ラグが岩屋に言うと同時に、執務室のドアが開かれライタントが全ての材料がここに届くまで3日ほど欲しいということを報告した。

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