848/4333
847.
「ご覧ください」
研究者に言われ、廊下と部屋を区切るガラスでできたハメ殺しの窓越しに、その子と対面する。
「奇跡は起きました。我々が起こしたのです」
神の世界と呼ばれたDNAからの人体蘇生を、彼らは成し遂げることができた。それがこの世界にどんな影響をもたらすかはわからない。
「名前は……」
「サザキだ」
ライタントは迷うことなくそう呟く。それは彼女に与えられた、最初で、そして最後の名前。岩屋がこの世界に戦乱を巻き起こした元凶にして、再び失った娘。倫理があってないようなこの世界で産まれた、初めてのクローンであった。
「分かりました。ではそのように名付けます」
研究者は近くにあった、真空パックされて清潔な布をライタントに渡した。いつの間にか涙が溢れていた。
「ありがとう」
奉王将軍攻略戦が終わったら、このことを報告しなければならない。そうライタントはメモを取った。




