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「いやはや、敵にしなくてよかったです」
奉楽将軍が、岩屋の横に立って城門のすぐそばへとやってくる。目の前は、凄惨な状況となっていた。
「行きましょう、時間は待ってくれませんから」
「ええ」
奉楽将軍に岩屋が無表情な声で話す。努めて、そういう声を出しているというわけではない。これが岩屋の素なのだ。奉楽将軍がそれを感じ取った時、岩屋は歩きながらも、奉楽将軍へ話す。
「奉楽将軍ご自身がどう感じてらしているのか、それは僕には分かりません。ですが、あなたが敵対しない限り、裏切らない限り、僕と僕が従えている各将軍へと反旗を翻さない限り、僕は貴方はこの想いをぶつけることはありません」
「はっはっはっ、そうですか」
冷や汗をかきながらも、奉楽将軍はそう答えた。




