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「敵部隊は、北東から直城外周部へ侵入をしております。以前からの増築計画による5重の城壁のうち、最外層とその一つ内側にあたります」
第一秘書が説明をする。もともと軍人上がりである第一秘書は、負けが濃厚となった時点で奉王将軍を外部へと逃がし、自らは降伏するという役目を担うことが決まっていた。奉王将軍がいれば、どこかで正当性を主張して、存続できると考えているからだ。だが、岩屋の登場でその考えもできるかどうか危ういところになった。
「ヒラハ」
「はい」
ヒラハとは、第一秘書の名前である。
「我々はどうなる」
それについて、第一秘書は答えに窮した。どのように答えても、おそらくは勝ち目がないからだ。




