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「逃げたい者は、いまからでも投降するように勧告しなさい。殺しはしないというのも忘れずに」
奉王将軍が指示を出し続ける。刻一刻と変化していく戦場を映し出した地図を見ながら、その上に駒を置いていく。直城全域を映し出したこの地図は、どこに部隊を配置したかが一目でわかるようになっていた。
「王将軍陛下……」
その駒の配置を眺めてるのは、奉王将軍の第一秘書である。
「あなたには苦労をかけますね」
「いえ、陛下ほど、この領土を想っている方はいらっしゃらないでしょう」
「そう言ってくれると助かるわ」
娘も死に、家族と言えるのは、もう第一秘書しかいない。そんな孤独とも奉王将軍は戦わざるを得ない状況にあった。




