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「この杖は、この砦が作られた際、伐られた木から作られました。この砦の代々の大隊長に引き継がれてきたものです。この杖の持ち主は、すなわち、砦の主人ということ」
大隊長補佐は、それを言ったうえで、年長者へとその杖を差し出す。それを、驚いた顔つきで年長者が受け取った。
「礼儀無き者であれば、ここで一斉に攻撃もさせただろう。だが、貴方はそういう無粋な輩ではないようだ。相応の礼儀も持ち合わせているらしい。それゆえに、我々は、貴方に降伏する。奉執将軍にではなく、貴方にだ」
それが、最後の抗いということであろう。年長者へとそういい終わると、大隊長補佐は、年長者に敬礼をした。それを見た他の面々も、若者も、女性も含めて全員が年長者へと敬礼をした。それは、ちょうど入ってきた中隊長もだった。一瞬ギョッとした表情を浮かべていたものの、大隊長補佐が敬礼をしている相手を見て、何があったかは理解できたようだ。




