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「第2中隊長、杖を」
杖、と聞いた瞬間、大隊長補佐の傍らで手を押さえていた人物が驚いた顔をしている。
「私は決断をしなければならないようだ。そのためにも杖がいる」
ちらりとだけ見て、大隊長補佐は言った。第2中隊長を指名したのは、自身が第1中隊長を兼務しているからであろう。となると、外でふらふらしているのが第3中隊長であろうか。年長者はピタリと胸に照準を合わせたままの銃の引き金に指をやる。
「大隊長補佐、杖をお持ちしました」
その杖と呼ばれたものは、イチイの木でできた、長さ30cmほどのものである。両端は金で細工されており、持ち手の部分にも、宝石が埋め込まれていたり、漆のような光沢がある塗料が塗られていたりする。




