75.
ライタントが往復するのに要した日数は、1週間と2日だった。その間、岩屋とラグは、出発のための準備に取り掛かっていた。
必要な物は、奉王将軍からの栄典の返礼としての儀礼叙勲用の勲章類、土産類、その他着替えやらご飯ものやら、名簿やら。さまざまな物を持って行く必要がある。そのさなか、ライタントが奉王将軍の親書を2通もって帰ってきたのだ。
「役目、お疲れ様。それで、奉王将軍はどのような反応を?」
「極めて良好な反応でした。まず、見事に前奉執将軍と前奉葎将軍を討ち取ったことを褒めておりました。また、本人と出会えることを楽しみにしていると伝えてほしいとおっしゃっておりました」
ライタントは、岩屋に奉執将軍宛ての、ラグに奉葎将軍宛ての親書を手渡しする。内容は、会えることを楽しみにしているとか、岩屋やラグが渡した親書の返信など、定番の内容であった。
「なるほど。それで、いつ向こうの勅使がやってくるのだ」
岩屋がライタントに質問をする。ライタントは、すぐに岩屋たちに答えた。
「予定では、3日後になっています。その際、必要な事柄をお教えするという手筈になっております。奉執将軍、奉葎将軍ともに行うことになっておりますので、ご承知下さい」
ライタントは、それから事務連絡にうつる。簡単に奉城の概要や、軍備の配置についてなど、さらには売っているものや街の様子まで、さまざまなことを口頭で説明をする。後で報告書を書くわけではあるが、先に知っておくべきだろうとライタントが判断した結果だ。
「では、それまでは準備の期間にあてよう」
岩屋がラグとライタントを見て言った。ライタントは、岩屋とラグの補佐や、準備をしている間の内政担当となった。