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72.

「そして、奉城へと到着を行うと、指定された宿へと泊ることとなります」

 ラグが説明をさらに続けている。

 奉城へと入城すると、通常であれば翌日から3日間連続して宴が饗される。1日目は奉王将軍が主催する。この奉王将軍主催の饗宴は、儀式的な要素も含まれており、この宴のさなか、新たに奉執将軍となる岩屋が奉王将軍に名指しで呼ばれると言うことがある。その時には、奉王将軍の傍により、額に触れてもらうと言う儀式がある。行われるのはメインディッシュが来る直前。必ずこのタイミングで呼ばれることとなっている。通常であれば、1人のみが新たな将軍職となるのでこれでおわりになるが、今回は2人、ラグと共に行うこととなる予定なので、呼ばれるのは2人同時になるはずである。これについては、儀典集に記載はなかった。どうやら1人ずつを前提として考えているためらしい。そのため、これからも一人を前提に説明が進んでいく。

 2日目は新たに将軍職に就いた人が主催する宴が行われる。いわゆる答礼饗宴だ。儀典集の中では、新たに将軍職に就いた人のことを新将軍を書かれているため、ここでもそう記すことにする。これについては、奉王将軍を正式に招き、執り行われると言うことになる。この宴についても、メインディッシュが来る直前に、今度は新将軍が奉王将軍を呼び、右手の薬指を三回叩くと言う儀式を行う。どうやらこれは忠誠を意味しているということのようだ。奉王将軍が任命し、それに対して忠誠を誓うと言う図式を2日かけて見せつけると言うことが、この饗宴の真の目的になっているらしい。

 そして最終日である3日目。この日は街中で大々的なパレードを行う。不定期に行われるお祭りだ。街中の奉王将軍が決めたコースを回り、新たな将軍の即位を祝うことになる。この日は唯一二人が並んで街を回ることとなるが、このパレードが終わった後にも、市民饗宴と呼ばれる宴が催されることになっている。これは、奉城の城民たちが自発的に執り行うとされている宴で、さまざまな家庭料理がふるまわれると言うことらしい。


「…そして市民饗宴の翌日、奉城から出立し、将軍として正式に戻ってくることになります」

 ラグが1時間はかかって説明を終えた。ライタントは眠そうにしているし、岩屋はあまり集中している様子ではない。それでも二人ともちゃんと話を聞いていたようで、さて、と岩屋がラグに言った。

「となると、こちら側の答礼饗宴でふるまうことになるメニューを決める必要があるのだな」

「そう言うことです。ただ、儀典集に一例が載っているので、これをアレンジすることで行うことができるでしょう。また、確かに前の将軍が死んだというしるしを、宴の前に奉王将軍に見せると言うことも必要になります。これは1日目の冒頭で執り行われる儀式です。この時に、その印を焚火にくべ、奉王将軍が確かに死んだという宣言を行います。そのため、首も持って行く必要があるでしょう」

「いくつか必須な持ち物があるようだな。それをリストアップしてもらえないか」

 ライタントに岩屋がきくと、すぐに立ちあがって岩屋に答えた。

「では、ラグと協力して行います」

「うん、すぐ始めてくれ」

 ライタントとラグが、岩屋の台詞を聞くとすぐに部屋から儀典集と一緒に出ていった。

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