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僕の異世界復讐話し  作者: 尚文産商堂


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64.

 奉葎将軍が死んだということは、またたくまに全世界に知れ渡ることとなった。出来るだけ早く帰るため、近くの宿に留め置かれていた馬を借り、岩屋は全力で帰っていた。そのさなか、途中立ち寄った、馬と人の宿である駅家において、その話を聞いた。ラジオからの音声は、聞き取りにくくはあったが、それでも何を言っているかは分かる。男性アナウンサーが、同じ内容のニュースを繰り返し、繰り返し流していた。

「ただいま、臨時ニュースをお伝えしています。本日、何者かによって奉葎将軍の省都が襲撃され、将軍、第一部下及び複数名が死亡したとの情報が入ってきました。奉葎将軍高官らは、一様に口をつぐんでおり、正式な発表は今のところありません。負傷者は複数名おり、今回の事件は、奉執将軍を襲名し、その宣言のさなか、他の将軍を狙うと言う大胆不敵なる言葉を発しておりましたその人によるものであろうという情報があります。しかしながら、今のところ、公式なことは何も知らされておらず、我々としても、何が起きているのかを推測するしかありません。繰り返し、置お伝えします。本日、奉葎将軍が、何者かによって………」

 ラジオの後の内容も、ほとんど変わることはなかった。岩屋は、このニュースを聞きながらも、馬の世話を馬使と呼ばれる厩務員に任せると言った。岩屋当人は、この駅家の人が使うエリアへと向かい、今日泊るための手続きをした。


 その日は、久しぶりにゆっくりとすることができた。岩屋は、荷物ともども借りることができた一人部屋で、ゆっくりと考えることにした。ベッドは1つ、イスと机も1つずつ。壁際には大きな衣装ダンスがあるが、中身は上板ぎりぎりに棒が1本だけ渡されている程度の質素なつくりだ。その中で、ベッドに横たわり、天井を見上げながら、頭の後ろで手を組んでいた。

 奉葎将軍は死に、彼らの仲間も襲ってくることはない。とはいうものの、他の将軍たちはどうなのかは分からない。もしかしたら突然やってくることだって考えられるわけだ。そのため、岩屋は枕の下に、銃を仕込んでおいた。暴発を防ぐために、安全装置は付けている。安全装置と言っても、引き金を強く引くと、弾は発射される。その程度の装置ではあるが、ないよりかはましだ。


 それから数時間。いつの間にか岩屋は眠ってしまっていたようだ。ふと気付くと、夕焼け空だった外は一変していて、真っ暗になっている。今日はどうやら新月のようだが、それでも町の明かりで、多少は明るい。トイレにでも行こうかとベッドの上で起き上がった時、トントンとドアをノックする音が部屋に響いた。

「はい」

 岩屋は半ば寝ぼけた頭で返事をする。ドアの向こうに居る人は、中に居る岩屋に聞く。

「すみません、お届け物です」

「間に合ってます」

 何が間に合っているかはさっぱりだが、岩屋はそう返事をした。だが、本能的に危機を察知し、枕の下の銃を取り出す。奉執将軍を撃ち抜いたその銃は、今や岩屋を守るための唯一の武器であった。お届け物と言われても、何かを頼んだという記憶はない。誰かから荷物が届くという予定もない。となれば、考えられるのは一つ。敵からのお届け物だ。

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