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598.
「よし、決めたぞ。ライタントさん」
「何をでしょうか」
岩屋が机から立ち上がって話す。机の上のお茶が入った冷えたコップを、鷲掴みにするようにバシッと取る。そして直後、冷え切ったお茶をがぶりがぶりと飲み干した。
「僕も、戦線へと向かう」
「それでは私はここに残りましょう」
ライタントは、眉一つ動かさず、淡々と答えた。それに岩屋は歩きながら答える。
「すまない、世話をかけるな」
「いえ、これも秘書長としての仕事ですから」
ライタントが扉を開け、ありがとうと岩屋は言った。そして、再び舞い戻る戦場へ胸を躍らせていた。




