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「航空機による空襲をしてこないのは、どうしてなのでしょうか」
大隊参謀長は、居並ぶ幹部に尋ねる。最初、それも、村へと奉執将軍の先遣軍団がやってくるまでの間。それだけのわずかな期間、わずかな回数だけしか、空襲は行われていない。そして、空襲と言っても、行われたのは威嚇射撃だけだ。それ以後、航空機が村の頭上を舞うことはない。今のところは。
「確かに、それは気になるな」
大隊長が言う。それに秘書が答えた。
「私の考えですが、村の内部にも奉執将軍の兵士がいます。同士討ちを防ぐために、攻撃を行わないのではないでしょうか」
まっとうな意見だ。そう大隊長は思った。




