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「やはり、この村に行くしかないようだな」
第一軍団長は、トントンと指でその場所を指し示した。まわりで列席している参謀達はそれに黙ってうなづくことだけしかできなかった。
「通信兵、閣下へと打電をしてくれ」
「はい」
会議の輪のそばで侍している通信兵に、第一軍団長が命じる。すぐさま通信兵は鉛筆と紙を取り出し、速記を始めた。
「我、鹿を横取りされた。以上だ」
通信兵は第一軍団長に復唱した上で敬礼をし、すぐさま走っていく。それを見ながら、現状の兵たちに、一時的な退却を命じることとなった。




