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さらに昼になり、ようやく全ての被害報告がまとめられた。ただし、速報であり、実際の被害報告とは少々誤差があるであろう。それがあっても、第一軍団長は参謀長ともどもその報告を聞いていた。そうでなければ、今後の行軍計画が立てられないことを知っているからだ。
「……これでは進軍することは無理だな」
「食料の半分が焼失、弾薬にいたっては7割が燃えたとあれば、進むのは無理でしょう。兵士も疲弊しており、士気は著しく低下しています」
「奉執将軍閣下へと通知をしてくれ」
「はい」
この時点で、第一軍団長は進撃することをあきらめた。いったん下がり、体勢を立て直そうと考えたのだ。
 




