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一方の奉楽将軍は、通信機を取り入れていた。新しいものが好きだという奉楽将軍は、岩屋たちが作り、一般に売っていたものを密かに買い、それを利用していた。だが、軍用通信ではないために、通信半径が1kmもない。それはどうしようもないことではあるが、今までになかった通信機という概念は、戦争を大きく変えることであろう。
「そうか、飛び去ったのか」
奉楽将軍は、部下からの報告にそれだけ話した。
「はい、取り急ぎ。ご報告させていただきます」
「計画は皆知っているな」
「はい、周知はすでに済ませております」
「よろしい、ならば、そのようにせよ」
奉楽将軍は、奉執将軍がいる方向へ視線を向け、なにも言わずにじっと見ていた。
 




