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進撃の報は、当然、攻め込まれている側の将軍にはすぐに伝わった。
「奉信将軍閣下……」
筆頭秘書が、その攻撃を受けているという報告を将軍に見せるために、執務室へとやってきた。
「いよいよ来る時が来たようだな」
「はい、全ての部隊に戦闘命令を下命しました。順次戦闘を行っているかと」
「そうか。ならば、すでに反撃を行っているだろうな」
「ええ」
奉信将軍は、いまだに前近代的な通信方法が主であり、岩屋が行っているようなほぼ瞬時の通信システムは確立されていなかった。そのため、前線が崩壊していることを、この時は知らなかった。
 




