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「その研究、明日持ってきてくれないか。朝一番で目を通しておきたい」
岩屋は買い終わったパイースのために扉を開け、先に行かせる。ありがとうございますとパイースがいうと、続いてライタントも行かせ、それから岩屋本人が通った。
廊下は、必要最低限の電灯しか付いておらず、外からも月明かりで影がはっきりと出来ていた。窓枠の影を踏んだり、踏まなかったりして、岩屋たちは話し合いながらそれぞれの部屋への分かれ道まで歩いた。
「それでは、私はこちらですので」
「そうだったな。それでは、おつかれさま」
「お疲れの出ませんよう」
パイースは別れの言葉を告げ、1階下にある部屋へと向かった。
「我々も、今日は寝よう。明日はまた忙しくなるだろうからな」
「はい、そうですね」
ライタントに話しかけると、すぐにうなづいた。岩屋たちは最上階にある寝室へと向かって、階段をゆっくりと歩いた。




