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「固いことで有名だな。木製だし」
岩屋は、座り心地を確認しながら言う。釘ぐらいしか金属を使っていない木の椅子は、ただ座るということだけに特化している。座り心地がいいのは、将軍の椅子と、あとは一部の高官だけだ。
「座布団やクッションを使ってもよろしでしょうか」
「当然だ。ライタントさん。そのことを将軍布告として全職員に言ったほうがいいだろうか」
「一部の者は、将軍の命令しか受け付けないという人もいますからね。したほうがいいでしょう」
「よし、では布告以後、指定された方式に従って、座布団などを使うようにしなさい」
「はい、ありがとうございます」
深々と一礼しながら、岩屋へと彼女は敬礼した。そして、楽しそうに走って食堂を出た。




