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「人のDNA複製や製造には、どれぐらいかかりそうだ」
岩屋が装置のそばに立っている副室長に尋ねる。そうですねと若干口ごもりながらも、副室長が答えた。
「短くて半年、長ければ3年といったところでしょうか」
岩屋はそれについて、意外と短い印象を覚えた。この世界の科学技術水準は、かなりまだら模様になっている。その中で突出しているのが、この第4部であろう。そこの副室長がさほど自信はないとはいえ、半年でできるといったのだ。短くても5年はかかるだろうと考えていた岩屋にとって、それは時間短縮につながる大事な情報だ。
 




