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45.

 岩屋は、旅を続けていた。たいがい青空、たまに雨という天気の中。帽子をかぶりつつも、誰も岩屋だと気付く事は無いようだ。それが証拠に、奉執将軍の領地から、奉葎将軍の領地へ行く時にも、誰も咎めはしなかった。もしかしたら、領地の境目に居る門番たちは気付いていたかもしれない。だが、何も言わなかったのだ。それは、知らなかったと言っていると等しい。

 そう言うこともあり、岩屋は無事に奉葎将軍の元へと近づいていた。そのことは、岩屋が気付かないうちに、奉葎将軍の耳へと入っていた。だが、門番が知らせたというわけではない。


「……なるほどな」

 奉葎将軍は、省都の執務室の中でつぶやいた。岩屋がやってきている、その報告を聞いてからだ。執務室の中には、第一部下と奉葎将軍、それとスーツのような服装をしている人の3人がいる。この3人がいても、部屋はまだまだ広い。あと30人は入れそうなほどだ。奉執将軍のところと同じく、壁には地図がかけられている。ここにある地図は、奉葎将軍の領地の地図、奉王将軍系統の将軍の全域地図、それと、他の王将軍の領地の地図もかけられている。どうやら、奉葎将軍も、他の将軍領へ攻め入り、版図を広げるという野望を抱いているようだ。

 その第一歩として、奉執将軍を攻めようとしていた矢先、岩屋がその首をかき切ったということだ。出鼻をくじかれた格好となったわけではあるが、一方でその新たな奉執将軍となった岩屋自身がこちらへやってくると言う話を聞き、にやりと悪そうに笑った。これはチャンスだと。

「岩屋京士朗、とか言ったな。この前の放送で奉執将軍を殺し、新たにその地位を襲ねたという」

「閣下、その通りでございます。その新たな奉執将軍が、こちらへ単騎、それもほぼ武装無しにやってくると言う話でございます」

「ならば、盛大に出迎えてやるとしようか」

 奉葎将軍は、第一部下に次々と命じていく。岩屋がくるところは分かっている。ならば、それに合わせてわなを仕掛けてやるだけだと。その思いを胸に秘めながら。

 この座を決して渡さないと、堅く誓いながら。

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