表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の異世界復讐話し  作者: 尚文産商堂


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/4260

40.

 放送室は、王宮内部に設置されていた。テレビ放送はまだしていないようで、ここでは防音室と、部屋の真ん中に置かれたマイクが印象的である。防音室と併設されているのが放送室の本体で、ラグの説明によれば機器室というそうだ。所狭しとそのための機械が置かれている。ラグの説明によれば、放送が受信できる範囲は、ここから約300キロメートルにもなるらしい。山がないため、どこまでも届くと言うことらしい。

 準備のためと言って、まず岩屋は防音室に入った。間は窓ガラスになっていて、双方がはっきりと見えるようになっている。ただし、姿は見えるが声は決して届かない構造だ。防音室になっているから、すでに分かっているだろうが。ただ、スピーカーが防音室の中につけられており、防音室側からスイッチを入れることによって、機器室からの声が聞く事ができる。また、ヘッドフォンがあるため、そちらから聞く事もできる。

「では、テストしますので、マイクの電源を付けて下さい」

 ラグの声が、防音室のスピーカーから聞こえてくる。マイクの電源は、マイクの側面につまみ状の物があった。岩屋は言われるままにそれを下に押し下げる。ブゥンと電子的な音が響くと、自然に消えていく。どうやら通電音の様だ。それと同時に、岩屋はヘッドフォンを頭につける。それからスピーカーの電源を切ると、ラグの声はヘッドフォンからしか聞こえてこなくなった。

「なにか、しゃべってください。できるだけ、文章でお願いします」

 岩屋は、知っていた落語の寿限無を何度も繰り返すこととなった。文章でとっさに思いついたのがそれだったからだ。多少あやふやなところは、目をつむってもらうしかないだろう。ただ、ラグが知っているとは思えなかったが。


「はい、ありがとうございます。これでテストは終了です」

 ラグが言ったのは、10回は岩屋が繰り返した後だった。ただ、ふぅと一息で岩屋は呼吸を整えた。そして、ラグは続けて言う。

「これから放送の本番です。喉は大丈夫ですか」

「ああ」

 あー、あーと試しで声を出す。不調なポイントは見られない。声は、さきほどから調子は変わらず、淡々とした声調が続いている。無表情な感じの声だ。だが、それぐらいでちょうどいいようだ。放送用の原稿は、すでに防音室の中に持ちこんでいる。A4ほどの紙で裏表に書かれている。

「では、いきます」

 岩屋は呼吸を整える。吸って、吐く。吸って、吐く。そして、ラグのカウントダウンが、耳のヘッドフォンから聞こえてくる。

「ご」

 岩屋は、頭の中で、速く動くメトロノームを思い浮かべる。カチコチカチコチと動いている。はっきりと音まで聞こえてくるようだ。ラグは、指を一つ折る。

「よん」

 それから、若干速度を落としていく。それは、自分が話しやすいスピードに落すことを意味する。再度、呼吸を整える。ラグは、さらに指を一つ折る。

「さん」

 そして、メトロノームは、一定の速度で拍を刻み続ける。カッチコッチ、カッチコッチといったゆったりとしたスピードだ。呼吸も、その拍に合わせて徐々に落していく。

 ラグは指で2を示す。呼吸とメトロノームの拍を一致していく。メトロノームに、呼吸を合わせていく。ゆっくりと、だが確実に。

 ラグは、そして1を示す。呼吸とメトロノームは完全に一致した。それから、読む文章を確認する。出だしを読み、その言葉を完全にイメージする。


 そしてラグは、キューを出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ