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さくさくと地面を踏みつつ歩き続けること3分ほど。もう広場からは全く見えないところに来た。
「ねぇ、本当にこんなところにお店があるんですか?」
「店、ねえ」
案内をしてくれていた男は十分に距離を取れたかな、という内容の独り言をつぶやいてから、クルリと180度回って二人のほうへと向きなおる。そのうえで仲間と思われる別の男たちも路地の隙間やドアから出てきた。
「いやはや、ここまで素直についてきてくれる良い子でよかった。案内するのも苦労がたまってしまっていてね」
どうやら店があるというのはうそらしい。そして状況はそれだけで済まないことを示唆していた。




