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「じゃあ、それを提出しないと、この店取り上げられちゃうんですか?」
ペロースは飲み物を半分ほど飲んだところで、店員へと尋ねた。すると店員はふぅとため息をついて答えてくれる。
「そうなんですよ。なのでここを離れるのは滅多やたらとできないんです。ここも前の店主が……」
そこまで言ってから、咳払いをして話を切る。
「ともかく、そのおかげでここから離れられないので、代わりにお客さんからいろんな話を聞くのが好きなんです。どうでしょう、お客さんもなにかお話をしてくれませんか?」
カウンターに両手を置いて、にこやかにペロースとベンターナのほうを見てきた。