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鞭のようにナイフを持った腕をしならせ、さらに攻撃を加えていく。ヒュンヒュンと風切り音は、岩屋にとっては心地いい音に聞こえていた。わずかに届かない位置を少しずつ後ろに移動しながらも、タイミングを計る。3回目、4回目となると、岩屋はコンと下がっていた足に木箱の角が当たる。おや、というようにわざとらしく足元へと視線を動かすと、敵はニヤッと笑った。
「もらった!」
これで最後、といわんばかりに一気に距離を詰め、両手でナイフの柄を握り、刃を水平にしてから岩屋の胴体に突き立てようとやってきた。




