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「……ともかく、だ」
少し離れた所に立たせている店員が、岩屋たちのところへと近寄ってくる。
「ここは今は危ない、離れてくれないか」
言いながらも、店員の一人だけが岩屋らから手が届くところで立ち止まる。そして足元で何か図形を描き始める。
「今はまだ天気が崩れる気配はないから、帰るなら今のうちだ」
やや湾曲しているが楕円形の半円を足で地面で描いている。それに合わせる形で岩屋は足を使ってもう半円を描き出す。
「そうか、だが、どんな品物が売っているかだけでも見せてくれないか。天気が崩れないならしばらくは大丈夫だろう」




