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「もしも、貴方は王になれるといわれたら、なりたいですか」
「……それについてははいともいいえとも言い難いものだね。私は少なくとも今の生活は最低限保証されていて、まあ、満足とまでは言えないまでも、現状を変えようとは思わないね」
「そうですか、ありがとうございます。こうしていろいろとお話ができてとてもうれしかったです」
テッセラは礼を言って再び庭へと出る。さっきまでの緩やかな風とは少し変わり、わずかな生暖かさとともに強めの風が数秒おきに吹き始めている。空も黒雲とまではいかないが灰色な雲がどんよりと覆っている。しかしそれでもテッセラは歩き始めた。




