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質問が返され、わずかにテッセラは答えられなかった。しかしそれでも言葉を紡ぎ出す。
「あなたの立場ではないので明確には答えは出ないかもしれません。しかしながら、私は旅が好きで、人と交流することが好きでこの仕事を選んでいます。もしも機会があるのであれば、喜んで私は飛びつくことでしょう。見え透いた罠であろうと、それにつかみかかる勇気があれば道は必ず開けると信じていますので」
「勇気、ね」
少し寂しそうな顔をしながら、特別市長がつぶやいたのを、テッセラは聞き逃さなかった。




