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「ごめんなさい」
ゴアフラは、素直に頭を下げた。
「……そう、そうよね」
ヒカイロネはそう言った途端、ほろほろと涙を流しだした。悲しいのではない、ただ嬉しいのでもない。そんな複雑な感情が、涙として体からあふれ出たのだ。それを見て、一瞬たじろいだが、涙を拭いたヒカイロネは、すっきりとした表情を見せる。
「うん、そうよね。なら、友達から始めましょうか」
「それならもうそんな関係だろ」
ゴアフラは、ヒカイロネに言う。
「こんなことするんだから、もう友人さ。馬鹿みたいに笑って、一緒に悲しんで、楽しみを共有する。そんな友人さ」
それが友人さ。そうゴアフラはつぶやいた。そして、二人一緒になって、奉執将軍の省城へと帰るための支度をはじめた。




