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「茶も出さずにすまないな。だが、もうそれも買う余裕もないぐらいになってきているんだ」
「いえ、お構いなく」
テッセラが笑顔で応対する。だいたいは察しているが、それでもあえて露天商である彼へ尋ねる。
「それで、あなたは誰なのですか」
「おや、もう気づいているだろう?」
彼も笑っている。
「……ではお尋ねします、特別市長」
にっこりとしながら、椅子の上で右足を上になるように足を組む。その上には、指の腹同士をあわせるようにして、手を組んだ。
「どうぞ、観光客さん」
テッセラへと特別市長が話しかけた。




