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「もしもし、お兄さん。少し寄っていかないかい」
庭の一番奥のところは邸宅の裏側になっていて、広場のように空間が広がっている。除草剤でも撒いたかのように地面がむき出しだが、そこで露店をしている人物がいた。ちょうど建物にある庇で雨宿りもできるようになっていて、身長ほどの長さがある机を一つ、テーブルクロスを敷いてその上にいろいろと物を載せていた。
「そうだよ、そこのお兄さんだよ」
ほかに人はいない。周りを見回していてほかの誰かのことを言っているわけではないと判断したテッセラは、露天商のところに近寄っていく。




