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「……そして、ここが最後の観光名所だ」
今度は旧市街の端の方にある、ポツンと建物があるところを指した。周りはさっぱりとした広場というべきか草原というべきか、そんな建物がなくて一軒家となっている場所だ。地図だけでは周辺がどうなっているかについては、はっきりとはわからなかった。
「ここは昔の墓地だ。今は誰も埋められていなくて公園になっている」
「墓地?」
岩屋は聞き返す。
「そうだ。ここがまだ独立していたころに、ここにはたくさんの政府の役人たちが特権階級として埋められた。俺らの先祖は、そんな埋められた人らを市街開発の際に別のところに埋め直した」
さらっと輸送班長は言った。




