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一行は案内をされながら出納課に向かっていく。職員に案内されているが、右へ左へと動き続けていて、本人以外は理解できないようになっているようだ。
「非常に複雑な階段の通り道になっているんですね」
岩屋は思わず職員へと聞いた。
「ええ、昔ここが独立国だった際に、ここは執政官と呼ばれる、今でいう内閣首席や地方主席のような人が治めていました。敵国から攻められることを考慮して、非常に複雑な構造にしたそうです」
「ということは、ここの建物は非常に歴史があるのですね」
「そうです」
職員は、階段を上ったり下りたり、忙しく移動をしているさなかでも、淡々と話してくれていた。




