3861/4203
3860.
「……ここか」
この領域内で5つしかない特別市、その最大の都市ともなると、市庁舎もかなり大きい。まだ見たことがないが、首都よりもここの方が多いと、輸送班長が自慢をしていたのを聞きながら、岩屋は市庁舎を見上げていた。
「そうだ」
岩屋が驚いていて聞いていないことに気づいたのか、輸送班長は短く答えるだけだった。視聴者は20階とも25階ともあるような、コ形をしている建物だ。へこんでいるところは中庭のようになっていて、そこから中央左右と通路が続いている。植木も植わっているが、しっかりと整備されているようで、まるでロケットの先端のように三角錐になっていた。
「こっちだ」
そのなかで輸送班長はぞろぞろと隊列を引き連れつつ、右側の建物の正門へと入った。




