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「今の特別市のうち、これから向かうオリトークはそんな王国に反発していた国の首都だったんだ」
「ああ、この厳重な砦のような城壁も、その時の名残か」
「そういうことだ」
サクサクと土の踏む音が心地よい。それを感じながら、岩屋は輸送班長からレクチャーを受けていた。
「ただ、ここの特別市の市長だけは、ほかと違っていて、地方主席がなっていないんだ」
「そうなのか」
「そうだ。昔の名残なのか、ここだけは特別市長と地方主席が分離されていて、2人で一致しなければ軍を動かすことができなくなっているんだ」
「特別市長がその昔の王国の子孫とかなのか」
「まさか」
輸送班長は笑い飛ばした。




