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384.
「どうだ」
岩屋は、駆け込み奉執将軍の執務室へとやってきた。スラム街での人らはすでに歩哨に就いており、岩屋が来るのを今か今かと待っていた。
岩屋に声をかけられるとすぐに、不恰好ながら岩屋が教えた敬礼をする。すかさず岩屋も答礼を行い、ほとんど同時に姿勢をただした。
「いえ、すでにもぬけの殻でした」
「そうか、やはり逃げたか。なにか手がかりになりそうなものはあったか」
「いえ、ただ、メモが残されておりました。確認だけして、一切手をつけておりませんので、どうぞお入りください」
「よし分かった」
岩屋はそう言われると、さっそく部屋の中に入った。




