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「……じゃあ伝令でも送るか」
岩屋はそうつぶやく。
「誰かひとり送るのか。それだと帰りの護衛も心配になってくるな」
「帰りは同じ道を通るんだよな」
岩屋は輸送班長の言葉に、一応という形で尋ね返す。
「そうだ。だからこそ、あの関所をもう一度行けるとは思えないのだよ。あそこをすでに1人少ない状態で行けるのかという問題だ」
「まあ、なんとかなるだろう。そう考えるしかあるまい」
岩屋は輸送班長に答えて見せた。実際、それで何とかしてきたのだから、輸送班長は何も答えなかった。




