384/4165
383.
「すまない、ライタントさん。怖かったと思う」
「ええ、確かに怖かったです」
でも、縄をほどかれたライタントは一切震えてはいない。怖かっただろうが、それでも岩屋が来ることを信じていたようだ。だからこそ、しっかりと意識を保ち続けることができたのだろう。
「うん、よかった。まずはよかった」
岩屋は無事だったライタントをガシッと抱きしめた。力強く。生きていることを喜ぶように。
「この場所は任せてもいいか」
「ええ、行ってらっしゃい」
ライタントはすぐに何かを察したようで、岩屋へと答える。岩屋はそんなライタントを信頼し、この場の収集をライタントに一任し、スルーがいるはずである執務室へと走った。




