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「そういう考えもあるのか」
輸送班長がなるほどなるほど、とつぶやきながら何度かうなづいていた。岩屋はその間にも半歩だけ輸送班長から後ろを歩く。だが輸送班長はそれに気づかないようだ。
「面白い考えだな。だが、たしかにそうだ。利益を最大にするには、途中でも商売をすることができればいいからな。一隊の輸送隊で複数の町を回れるようになれば、効率も増すからな」
笑いながらも輸送班長が言った。実際のところ、今岩屋らが護衛している輸送班以外にもかなりの数の輸送隊が縦横無尽に動き回っているはずだ。だから、この輸送班はとどのつまり、補助金狙いというだけの、意味がほぼない輸送をしているということになる。




