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「それで、どうだ」
岩屋が尋ねると、テッセラはすぐに答える。
「変わりはありません。夜は静かなものでした。ただ、遠くの、山裾を迂回して通るような道からでしょうか、そこからだけ音が響いてくるぐらいです」
虫の音は、岩屋には聞こえているようだが、それを言わなかった。別段、それぐらいで何かあったわけではないからだ。
「ならいいな。今日はもうこれでみんな起きてくるだろう。護衛班は少なくとも日の出くらいには起きてくるはずだ。すぐに周辺の再捜索を。何かあるわけではないが、念の為に、な」
「了解しました」
テッセラはすぐに座ったまま、岩屋へと頭を深々と下げた。




