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一発、二発、三発と発砲音が鳴り響いた。騒ぎは急速に大きくなる。処刑は、一時中止せざるを得ないだろう。
「鳴ったな。行くぞ」
スラム街で集めた人員は、すでに配置についていた。彼らは岩屋で金で雇われた私兵だ。省城中心にある奉執将軍の王宮の門のあちこちから、できるだけ多く突入することが役目となっている。できれば、周囲の人らも巻き込んで、暴動を引き起こすようにとも言われいていた。だから、嘘の噂を流しまくる。
「おい、聞いたか。この王宮の中には宝があるってよ」
「知ってる?王宮の中で囚われた人たちがいるって。ただスルーに逆らったっていうだけでね」
「昔のほうがよかっただろ。だったら行動するしかないじゃないか」
なにが琴線に触れるかわからない。だが、何かの噂が人々を動かしたことは確かだ。




