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「どうした、不服か?」
ただ一人執務室に残った部下を見て、スルーは尋ねた。
「いえ、不服ではありません。命令には従います」
「ほう、なら、何が良くないと思う」
スルーは、この会話を楽しむように話しかける。その部下は、極めて真面目な顔つきでスルーに答えた。
「処刑のことです。仮に恐怖を与えるのであれば、さらに引き回しを行うなど、前座が必要ではないのでしょうか」
「なるほど。前座か」
スルーは考え、そして部下に聞いた。
「君の名前は」
「リガール・フロイダンです」
「うむ、リガール。君を第一部下に任命しよう。今回の前奉執将軍の件の一切を任せよう」
「ありがとうございます。必ずや、ご期待に添えるように頑張ります」
失礼しますと敬礼してから、リガールは執務室を出た。




