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「輸送班長、君の警護をするのも僕らの任務だ。入ってもいいか」
と中に尋ねるとすぐに声が返ってくる。
「いや、だめだ。ここには入ってきてはいけない。入っていい時には声をかけるから、しばらく二人きりにしてもらえないか」
輸送班長の声が聞こえると、少し間が空けて、ドアが開いた。さきほどの女性がドアの向こうには立っていた。少し服が乱れている気もしなくはない。
「申し訳ないけど、そういうことだから、ちょっとの間でいいからそっとしておいてもらえるかしら」
「はぁ、ですが、家の前には班員を立たせます。それがせめてもの妥協です」
「わかったわ」
女性に岩屋が不承不承ながらも答えると、ありがとう、と口の形で伝えてきた。




