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「……何か見えるか」
黒煙も一段落ついたころ、岩屋は再びベンターナへと聞いた。ベンターナは目をよく凝らしてみて、燃え尽きたバリケードのさらに向こうをみようとする。
「いえ、誰もいないように見えますね。無人なのではないでしょうか」
「無人だと」
無人、という単語に反応を示したのは輸送班長だった。
「そんなはずはないだろ。今までここを何度も通っていたが、誰かがいなかったということはなかったぞ。必ず、こちらに向かって何かしらのアクションがあったものだ」
「しかし……」
ベンターナはなおも輸送班長へと答えようとしていた。




