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「これは、確かにここにきたという証拠の品だ。この峠の茶店で休憩するのは、この札をもらうためでもあるんだ」
輸送班長は、木片を班員から受け取ると、そのまま岩屋へと回した。
「向こう側にいる役人に、これを見せる。すると、向こう側にはこれとピッタリ合うものがあって、確かにここを通ったという証拠になるのだ。だから、これは無くしてはならんし、破損してもいけない。非常に大切なものだ」
岩屋がクルクルと回して全部を確認する。一応表と裏があるようで、表側には、何かの絵が描かれている。しかし、その半分は失われていて、男性が何かと向き合っている状態であることしかわからなかった。




